第7回1万人大会

日時
1990年7月7日(土)〜8日(日)
場所
和歌山県南紀白浜・串本 国民宿舎 あらふね 

ミスターバイク誌 第6回ミスバイククラブ 1万人大会記事より

そこに友がいるから 女の600マイルブレンド・ラン

確たる理由もなく“ただ美味しいコーヒーを飲むため”だけに男は走る。
そして、ミス・バイク達は“そこに友がいるから”走る。
この大会は、まるで“女の600マイルブレンド・ラン”。
とびっくりの友人の笑顔を見るためだけに、誰もがここへ走ってきた。

一台、また一台、弾んだ排気音が聞こえてきた

 ままだ春浅い2月、スタッフミーティングで、誰かがポツリと言い出した。「第7回なんだねー。七月七日…土曜日だ。年に一度の再会じゃない。七夕にしよう!場所は南の方。星を見ながら大宴会!!」「それ、最高 !」この一声で、一万人大会へ向けてスタッフが動き始めた。半年がかりのプロジェクトだ。この大会、実はこんな軽いノリで決められている。けれど、心待ちにしている参加者たちは四苦八苦で都合をつけ、休みをとる。そして申し込みをして、転送された地図を広げてみると−和歌山県東牟婁郡古座町、国民宿舎あらふね−ゲゲッ、遠い…。紀伊半島なんて、伊豆半島に毛がはえたくらいだと思っていたのは私だけかしら。東京からだと600km、順調に走り続けても14時間はかかる。ヒェ〜。でも中には「今年は近いわ。楽やわぁ〜」と微笑んでいる人もいるんだよね。全国平等、皆頑張って来てね。
 というわけで、花も嵐も距離も会社も彼氏やダンナ様まで乗り越えて、やってきました大会当日。天気は文句なしの、超ドッピーカン。
 スタツフ12名は、全員“江戸の祭り"の衣飾でビシッと決めて、準備OKで待ち受ける。今日はお祭り、気分はワッショイ! 待つ間、私の頭の中には、日本地図が浮かび上がる。全国各地から、ミスバイクが走って来ている。ピピピッと矢印が、ここへ向かっている。今にも、エンジン音が聞こえてきそうで私の心はワックワク。
 皆がそれぞれの旅(ツーリング)をしながらやって来る。何日もかけてやって来る人、休みなしで走ってくる人。何のために?そこに何があるの?んー、それは言葉では言いつくせない。一度来てみればわかるよ、ウッシッシッ。
 例年より、皆の走行距離の平均がグンと多く、到着時問が遅くなって、ちょっぴり心配だったけれど、皆、ぞくぞくと到着。
駐車場でヘルメットを取った瞬間、「今日は〜」「きゃ〜元気だった〜」と、笑顔のオンパレード。お尻の痛さなんて、どこかへ吹っ飛んじゃうのだろうな。
 ミスバイク、92人集まれば、色んな人がいるわけで、北は青森、南はなんと鹿児島から参加。山形からは走りっぱなしで 900km。バイクはなんとDT125というからおどろき!伊豆大島からの参加は、往復でフェリーに 4回も乗って、お金かかったでしょ。阪神高速でパトカーに乗せられて「お巡りさん、暑くてかなわんわ。クーラーつようして!」と頼んだ上、赤キップを青キップにしてしまう娘、etc…。

まったくみんなパワフルで、嬉しくなっちゃう。

 さて昼のメインイベントは水着になっての“浜辺でゲーム”。
 ドッヂボール、三人四脚水くみ競争、すいか割りと、白熱戦が大胆に繰り広げられ、夏を満喫。一方、砂利の駐車場では恒例のライディングスクールだ。CRM50・80で、まず8の字練習から。「肩の力を抜いてー!ニーグリップー!」と指導者も、そして受講者も、真剣、汗ダク。
 初めてオフロード走る人、初めてキックする人。炎天下、海と水着を横目に、「ひたすら練習を続けていた40才のお母さん、印象的だったなぁ。
 と、ここまではよかった。せっかく水着なのだからと始まった“水着コンテスト"。青い海、白い砂浜、そして一列に並んだ美女16名。ハイレグあり、競泳用あり、ライディングウェアに身を包んでいる時とはまた違う色気がムンムン。ミスバイク・プライベートビーチは、女子高のノリで盛り上がった。
 突然コンテスト中、中の一人が、「私の胸、見たい人〜」と言い出した。「ハーイ!」「ぬげ〜」と大合唱……えっ、まさか…ポロリ。ウッソー、キャ〜。
 女ばかりと思いきや、しっかり遠くから若い男の子3人、ニタッと見てたもんね。
夜、和歌山上空は、曇り空で、織姫と彦星は逢えなかったけれど、たんざくに書いた、みんなの願い事は、どうぞかないますように……。
 いよいよ大宴会。今年のテーマは“七夕のかっこう”。この日のために浴衣を購入、家で、5 回も着る練習をしてきた人、体中に笹をつけまくっている人、両手両足を広げると☆になる人、髪の毛を笹の葉色に染めてしまった人、そして静岡4人組の"星座ダンス"と、毎年皆様の仮装力には頭が下がります。
 スタッフも負けてはいられぬと、頭に笹をつけ顔を緑に塗りランバダ調“笹の葉音頭”を踊り狂う。いつの間にか庭は盆踊り場と化した。そのみんなの上空でお得意のしかけ花火。威勢のいい爆竹の音と共に、夜空に“一万人大会"の文字が。感動! さてさて、宴会は絶好調。自己紹介では、せっかくの浴衣をよってたかって脱がされそうになる人あり。「私の彼がバイクには反対で、この大会が最後のツーリングです」と打ち合ければ、朝まで「そんな彼氏のどこがいいの!?」「別れちゃえば?!」の質問攻撃。片や、ママさんライダーは強い。「バイクで外出の度『事件が起きたのでママは正義を守る為に行かなければならないのよ!』と子供に説明してくるんです」だって。これぞ正義のミスバイク!
 皆のバイクライフをかい間みて、ウンウンと納得したり、知恵をつけて帰る、一年のうちで貴重なこの二日。語り合い、笑い合って宴会は続く。寝たのは3 時半だっけな。
 翌日、集合写真を撮るためにオートバイを並べてビックリ、大型車の多い事、それもリッターバイク。走って天国、止まって地獄と言いながらも皆、頑張って乗っている姿、カッコイイ。次に目立つのはオフロード車。こちらも足つきは決してよくはないはず。俗に言う「女の子乗り」をしている子は見あたらなかった、みんなキチンと自分のサイズを見つけて走ってる。
 そして解散。「またね」「来年どこでやっても行くからね」「ありがとう」そして笑顔一杯。また私の頭に日本地図。ライムグリーンのTシャツが、ちりぢりで走り出す。涙が出そうになる位、私の大好きな瞬間。また来年ネ。
(レポート/ミスバイククラブリーダー・永島信子)