「長野は晴れていたよ」「大阪はいい天気なのに」「東京も降ってなかった」…。
全国各地からやってくるミスバイクがもたらす天気情報の現実は"開催地のみ雨"。
しかし、この地にやってきた彼女たちがもたらすのは、笑顔の洪水のみだった。
いろいろあるよ。だからこの時だけは笑っていよう。
もう18回。あっという間の18回。だけど考えたら長い18回。
83年7月、「女性ライダーだけで集まってみたい」と、当時のミスバイククラブ会長・三好礼子さん(現山村レイコさん)が始めた"ミスバイククラブ一万人大会"。ボランティアの女性ライダーが企画、運営の全てを行うイベント。会長がいなくなっても、スタッフの面々が変わっても、女性ライダーブームが終わっても続いている "女性ライダーの祭典"。
毎年開催場所を変え、東でやれば西、北でやれば南、というようになるべく全国各地の女性ライダーが参加しやすいようにしている。そして今年は「富士山の見える所」というテーマで、神奈川県御殿場市のキャンプ場で開催。
しかし、折しも台風15号が南方からまっすぐに開催地目指して北上中。東から西から集まってくる総勢85名のミスバイクは、嵐のまっただ中へ突っ込んでくるカタチとなってしまった。前日、電話が入る。「雨でもやりますか?」答えはひとつ。嵐でもやります。花も嵐も旦那も彼氏も踏み越えて来て下さい。この日この時は、年に1 度しかないのだから。
そうして、嵐を踏み越えてきた参加者には特別なもの……はなにもない。バンドもなければ出店もない。ただ集まり、食事をし、飲み、騒ぐだけ。しかし、そこにいるのはバイクに乗る者、そして、女性だけ。日頃一人で走ることの多い女性ライダーが「こんなに仲間がいるんだ』と確認する場。そして、上は54歳、下は23歳と年齢が違っても関係なく騒げる場。(それにしても女性ライダーは見た目が若い!年齢不詳多し)
子供の話、旦那の話、離婚の話、そしてバイクの話。普段の生活ではしない話をいっぱいしよう。嬉しいことを言おう。辛いことも言おう。そして、この時だけは笑顔でいよう。辛いのも嬉しいのも自分だけじゃないのだから。無条件でこの時を共有しよう。それを出来る場がここにはあるのだから。
まだ見ぬミスバイク、そして今年は会えなかったミスバイク、生きていればまた来年!
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