第16回1万人大会

日時
1999年7月10日(土)〜11日(日)
場所
山梨県清里 伊予ロッジ 

ミスターバイク誌 第16回ミスバイククラブ 1万人大会記事より

変わらぬ笑顔をありがとう
女性パワーは太く長い!
気がつけば16歳の夏

夏になると日本のどこかで、こんな風に女ライダーの花が咲く…いつしか当たり前のようになったこの風景。でもふと気がつくと、16回という回を重ねている。第1回の時に生まれたら16歳、つまり免許取得年齢。16回続けて来ている人がいるという事実。親子の参加者がいるという事実。そして、もちろん初参加の人もいるという事実。世間の目、結婚、出産…女性ならではのバイクに乗る事への障害を越えて彼女たちはここにいる。にっこりと、あっけらかんと、たくましく!
16年前の嵐のような女性ライダーブーム。けど、ここにあるのはブ一ムではない。バィクをラィフスタィルの一部として取り入れだ自然な姿。16歳のミスバイク。いまだ青春全開まっさかり!

一晩だけの出会いだからいっぱい話そうよ
16年前の'83年、当時のミスバイク会長三好礼子さん(現山村レイコ)の「女性だけで集まってみよう」の問いかけによって、この大会は始まった。タイトルの「一万人」は当時の女性ライダーが一万人いると思っての意味。実際には当時すでに10万人はいたらしいけど(笑)。
女性ライダーのみのボランティアスタッブが〔現在も同じ。スタッフも同じ参加費を払つて参加している)、企画、準備、運営し、全くの手探り状況ながら第1回にも約1OO名が参加したまだ女性ライダーが珍しかった当時としてはこれは驚異的なこと。そして、そこから毎年「産みの苦しみ」を経ながら大会を続けてきた。ほんの一泊のイベントだけど、準備にはほぼ3ヵ月かける。「どうしたらみんなが楽しぐ過ごせるか」のみを目標に。
そして当日はいつも嵐のように過ぎていく。出会いと笑顔と、時に涙を残して……女だけの一夜は。正に姦しい。右も左も上も下も女ばかりだから。けどその一夜を過ごすと、身体の疲れとは逆に、心にパワーが宿っていることにいつも気づく。くだらないこと、真面目なこと、色んな事喋って、「自分は独りじゃない」ことに気づく。
人は人からパワーをもらい、人にパワーをあげられるんだね。ありがとう、ミスバイクありがとう、スタッフのみんな。またひとついい年をとりました。
(編集部まりこ)

パワーをありがとう
きっと、また、来年!!
We are MissBike

一日だけの女の園開宴

「じゃ、もう1回」
当日の昼1時。受け付け開始まであと1時間。みんなが来るまでに出し物の最終リハーサルを済ませておかなければ……。あせりながら入念な打ち合わせを繰り返す。失敗したらここ3 ヶ月の苦労が水の泡……。
まだ梅雨の最中なのに、嬉しいことに晴れてくれた。清里の空は私達を祝福するように青い。
遠くに八ヶ岳がくっきり見える。
こんなによく見えるのは珍しい。
自然にウキウキしてしまう。この空の下を東は茨城から、西は兵庫から、たくさんのミスバイク達が今この瞬間、この地を目指して走っているんだなあ〜。
「よし、OKでしょ」
最終リハーサルを終えて、スタッフは各自の持ち場に戻る。
企画、運営全てを女性ライダー=ボランティアのスタッフで行っている。一緒に、平等に楽しむために彼女らも参加費を払ってこの大会に参加する。すべてはみんなを楽しませるために、そして自分たちが楽しむために。
準備には3ヶ月かける。各地の女性ライダーが参加しやすいように、毎年場所を変える。去年は能登半島、その前は飛騨高山。実際は関東圏の参加者が多いので「近くでやって」とよく言われるが、全国のまだ見ぬ女性ライダーに会いたいが為にこのスタイルを変える気はない。
「あっ、来た。お疲れさま〜」
第1到着者がやってきた。さあ、いよいよミスバイク一万人大会の始まりだ。1人で、2人で、3人で……、続々と参加者がやってくる。駐車場係の指示に従って理路整然とバイクを並べてくれる。今回は砂利の駐車場にもかかわらず、一生懸命並べてくれた。毎年ビッグバイクが増えていき「もう少し寄せて」と言うのが心苦しくなっているのだが、みんな汗だくになりながら並べてくれる。スタッフも必死で転かさないように気を使いながら後ろを支えたりしている。……うっ、それたしてもリッターバイクが増えたなあ。
しかもどこか(主にマフラー)を改造している人が多い。「ハードに興味がない」と女性ライダーをくくっていたのは、昔の話なのね。
「久しぶり〜!!」の声があちこちから聞こえる。回を重ねること16回にもなると常連さんも多くなった。毎年来なくても、何年かぶりの顔も見られる。結婚、出産などから来れずにいて、子供の手から離れて久しぶりに参加する人の多いこと。決して若い頃の趣味ではないのだ。女性もバイクと一生つきあえる。
そして暑かった日差しが緩んできた夕刻。いよいよ、夕食。
外でバーベキューだ。
「みんな手伝って〜」のかけ声で、参加者みんながテーブルを運び、肉を運び、ビールを運ぶ。
ありがたい瞬間。宿の人が感心する時。だからミスバイクはやりがいがある。「お客様でござい」って顔する人はいない。
さあ〜、宴会開始だ!!
夏になると日本のどこかで響き渡る女性ライダーの歓声。今年もやってしまいました、女性ライダーの祭典、ミスバイクー万人大会。不況だの、リストラだの、世紀末だの言われておりますが、ミスバイクの面々はそんなこと関係無しに元気一杯です!

悩み事はみんなで解決

「カンパーイ」
スタッフの音頭と共に黄色い声が響いて、楽しい夕食の始まり始まり。その間にも遅れていた人が到着する。早く来ないとなくなっちゃうよ〜。
それにしても大した食欲、飲み欲。あっという間に用意したビール50本は空。追加ビールのお出ましだ。野菜が足りない? ハイハイ、お待ち下さい。
そうして食欲が少し収まった頃に自己紹介の始まり。そして、それが終わると……例のリハーサルの本番(詳細を知りたい人は来年参加して下さい)。寒くなってまで待たせてゴメン。コレも全てあの花火のためだったのだ。どうか、あの打ち上げ花火とナイアガラの滝に免じて許してちょ。
そうしてみんなで線香花火を楽しんだ後は、いよいよ宴会場でメインの大宴会だ〜。今回のメインイベントは『怪傑(解決) 熟女』のコーナー。なにしろ人生経験豊富な熟女揃いの、ミスバイク。親子の参加もあるくらいだから、日頃疑問に思っていることを、みんなに聞いて解決しようというもの。
「子供がいてバイクに乗る時間がないんです」
「小さい時から子供を洗脳し主しょう。ビデオは世界GP、アニメはバリ伝を見せる。そしてPWに乗せて『大きくなったら一緒に乗ろうね』と言う。また買い物は常にバイクで行きましょう」
はい、解決。
「ちょっとストーカーっぼい人に言い寄られて困ってます」
「友達に嘘の彼氏になってもらってきっぱり断ること……え、ダメだったの?相手はいくつ?33かあ。そのくらいが一番むずかしいね。うんと年上じゃなきゃ効果ないから、40位の人に彼氏のふりしてもらいなさい」
「じゃあ、お父さんかな(爆)」
はい、解決?
「バイクは怖くないですか?」
あちこちから「怖いで〜す」
(笑)ちょっと怖がってるくらいがいいよね。解決。
「大型二輪試験の時、緊張しすぎて足が震えてしまいます」
「適度の緊張はいいです。後はイメージトレーニングを何回もすること。その内受かるって」
はい、どんどん解決。
「意志の弱い私でもタバコをやめられる方法を教えて」
「新婚旅行にヒマラヤを登ろうと決めて、やめた」
「20で一度禁煙したけど(笑)、26に恋をしてやめました」
目的があればやめられるんですね。はい、解決。次々といろんな人が悩みを解決していく。
「要領の悪い人間って生きてる意味がないのかな」
そんなことはない!絶対にない。そんな風に考える人は人の痛みに敏感ないい人なんだよ。
(この質問には、司会者が答えたんだけど、マイクがよく聞こえなくて当事者に誤解を招いた。後で話せたからよかったけどー。また、次の日のアンケートで気にしている人が複数いた。Sさん、あなたは一人じゃないよ。みんなが気にしているんだよ。優しい気持ちだから傷ついているんだろうね。もっと自信を持って。あなたは素晴らしい人間なんだから)
100人よれぱ文殊の知恵。女にしか分からない悩みも、女だらけの一夜ならば解決できるよ。
そして完全解決にならなくても、きっと何かのヒントになるはず。……そうして夜は更けていく。
あっと言う問に翌朝になった。
彼氏もダンナも子供も置いて楽しんだ一時に別れを告げる朝だ。
別れを惜しみながらあちこちで住所交換が見られる。あいにくの雨模様だけど、みんなの顔には笑顔が絶えない。
「またね」「来年も」
この日を毎年楽しみにしているミスバイクがいる。新しい人が新しい仲間になる楽しみがある。
だからミスバイクDAISUKI。だから運がよければまた来年!!
(レポートまりこ)